情報掲載日:2025/02/25
【医師監修】抗酸化作用のある食べ物は?老化予防のために実践したい生活習慣

抗酸化作用とは、活性酸素の発生を抑える働きのことです。活性酸素には細菌やウイルスを分解して免疫機能を維持する機能がある一方、過剰に生成されると身体の酸化を進めて老化やがん、動脈硬化などの原因にもなります。

本記事では、抗酸化作用の働きや活性酸素の発生メカニズム、身体の酸化を減らすための食生活や生活習慣について詳しく解説します。

1.抗酸化作用とは?

抗酸化作用とは?

抗酸化作用とは「活性酸素の発生を抑える働き」のことを指します。活性酸素は、酸素を取り込んで呼吸をする時に発生し、酸素の数%が変化して生成される物質です。

強い殺菌作用があり、体内では細菌やウイルスを撃退する役目を果たしますが、一方で酸化作用も強いため、身体の中をサビつかせ、がんや動脈硬化、老化促進を引き起こします。

通常、私たちの身体には酸化作用から身体を守る防御機能が備わっており、活性酸素によるダメージを抑制・修復することが可能です。しかし、加齢や外的要因、生活習慣の影響を受けて活性酸素が体内に溜まると、身体に害が現れるようになります。

活性酸素から身体を守るためには、普段の食事で抗酸化作用を持つ栄養素を積極的に摂取するなど、身体の抗酸化力を高める必要があります。


2.活性酸素が増える原因と健康リスク

活性酸素が増える原因と健康リスク

活性酸素が増加する原因として、以下のような生活習慣や外的要因が大きく影響しています。

  • 紫外線
  • 喫煙や大量の飲酒
  • 食品添加物
  • ストレス
  • 過度な運動
  • 大気汚染

活性酸素を増やす因子は、身の回りにたくさん存在しています。さらに、活性酸素は呼吸をするだけで自然に発生するうえに、20代をピークに加齢によって活性酸素を分解する能力は衰えていきます。

活性酸素が増えることで起こる身体の変化

活性酸素が増えすぎると、さまざまな老化現象の発生や、重篤な病気のリスクが高まります。活性酸素の増加に伴う身体への影響には以下のようなものがあります。

  • シミやシワ、たるみの発生
    紫外線を浴びると肌に活性酸素が増え、皮脂やコラーゲンなどが酸化してシミやシワ、たるみが目立つようになります。
  • 身体の老化
    増えすぎた活性酸素は、DNAや脂質、タンパク質、酵素などの細胞を攻撃して酸化させるため、身体を老化させる原因です。
  • 免疫力の低下
    活性酸素が細胞や組織にダメージを与えることで免疫力が低下しやすくなり、風邪や感染症にかかりやすくなります。
  • 生活習慣病の発症
    糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病を引き起こします。

このように、活性酸素の過剰な増加は身体に多くの悪影響を及ぼします。活性酸素を増やさないためには、日々の生活習慣を見直して早めの対策を行うことが肝心です。


3.抗酸化作用のある栄養素とおすすめの食品

抗酸化作用のある栄養素とおすすめの食品

活性酸素による酸化を防ぐためには、高い抗酸化作用を持つ食材の摂取が欠かせません。抗酸化ビタミンや抗酸化物質を取り入れて、食事から活性酸素の発生を抑制しましょう。

ビタミンA

ビタミンAはレバーや鶏卵、バターなどの動物性食品に代表される栄養素です。また、植物性食品においては「β-カロテン」として含まれ、身体で足りない分だけ体内でビタミンAに変換されます。β-カロテンには活性酸素の働きを抑えて取り除く作用があり、にんじんやかぼちゃ、ほうれん草、パプリカなどの緑黄色野菜に豊富に含まれています。

β-カロテンは油と一緒に摂ることで吸収率が上がるため、バターやマヨネーズなどと合わせて調理することでより効果的に摂取できます。

ビタミンC

ビタミンCは抗酸化作用のほか、過酸化脂質が作られるのを抑える働きがあります。過酸化脂質とは、コレステロールや中性脂肪など体内の脂質が活性酸素により酸化されたもので、シミ・シワや動脈硬化などの原因にもなると言われています。

ビタミンAと同じく、ビタミンCは緑黄色野菜に豊富です。そのほか、アセロラやいちご、オレンジ、キウイ、グレープフルーツ、レモンなどの果実からも効率よく摂取できます。ただし、ビタミンCは熱に弱く、水に溶けやすい性質のため、野菜や果物は鮮度がよい生の状態のものを食べるようにしましょう。

ビタミンE

ビタミンEも、ビタミンCと同様の働きを持ち、抗酸化ビタミンの一種です。オリーブオイルやこめ油などの食物油、アーモンドやピーナッツなどのナッツ類、アボカドなどに豊富に含まれています。

ポリフェノール

ブルーベリーやリンゴなどの果実、コーヒー・紅茶・緑茶などの飲料、赤ワインに豊富に含まれるポリフェノールも、強い抗酸化作用があることで知られています。

フルーツの場合は皮にもポリフェノールが豊富なため皮ごと食べるのがおすすめ。また、コーヒーやお茶から摂取する場合、ポリフェノールは淹れてから時間が経つと酸化するため、缶やペットボトルのものではなく「淹れたて」を選ぶようにしましょう。


4.活性酸素を増やさないための生活習慣

活性酸素を増やさないための生活習慣

抗酸化作用の高い食材を摂取するとともに、活性酸素を増加させない生活習慣を身に付けることも必要です。ここでは、日常生活で意識したい4つのポイントを紹介します。

紫外線対策を徹底する

紫外線には「A派」「B派」の2つの波長があり、「A派」は肌に吸収されると大量の活性酸素を発生させて、肌の弾力とハリを保つコラーゲンやエラスチンを破壊します。さらに、「B派」も活性酸素による皮膚細胞の損傷を防ごうとしますが、その過程で大量のメラニン色素を作り出し、シミの原因となります。

そのため、極力日光に当たらないよう、紫外線の強い時間帯は避けて外出し、日中出かける場合も日陰を利用するなどの対策を行いましょう。その際、紫外線防御機能の高い日傘やつばの広い帽子、サングラス・紫外線カット眼鏡を使用するほか、顔など衣類で覆うことができない部位には日焼け止めを2~3時間おきに塗り直すと効果的です。

また、普通の窓ガラスは紫外線を70%程度通してしまうため、室内にいる時も日焼け止めを使うなど紫外線対策に気を抜かないよう意識しましょう。

軽度な運動を行う

規則正しい生活習慣として運動も欠かせませんが、激しい運動は呼吸量が増えることで、かえって活性酸素を発生させる原因になります。運動を行う際は、週に合計60分程度を目安に、ウォーキングや水中歩行など軽めの有酸素運動がおすすめです。軽度な運動であれば、抗酸化物質の働きを高め、身体の酸化を抑えることができます。

十分な睡眠をとる

睡眠中は活性酸素の発生が減ると言われ、睡眠をとっている間に、活性酸素により傷ついた細胞が修復されます。個人差はありますが、成人の場合1日6~7時間前後の睡眠時間を確保できるとよいでしょう。

また、睡眠はストレスの緩和にも効果的です。ストレスは一時的に血流を悪くし、回復時には活性酸素を発生させるため、生活リズムを整えて溜め込まないようにすることが大切です。

お酒やたばこなどの嗜好品はなるべく控える

飲酒すると、体内ではアルコールを分解しようとして活性酸素が発生します。飲酒の頻度が高かったり、一度に飲む量が多かったりする人はとくに注意が必要です。

喫煙習慣がある場合も、たばこの煙の中に活性酸素が含まれるほか、煙を吸い込んだ時に身体が抵抗してさらに大量の活性酸素を発生させます。また、抗酸化作用を持つ「ビタミンC」を破壊する作用も持ち、たばこ1本につきレモン半個分のビタミンCが損失します。せっかく食事から抗酸化ビタミンを摂っていても喫煙によって相殺されてしまうため、たばこは控えることをおすすめします。


5.今すぐ実践!生活習慣を見直して抗酸化作用を高めよう

活性酸素は免疫機能を担う一方、身体の老化や生活習慣病の発症を促進することもあります。活性酸素の発生をゼロにはできませんが、日頃の食生活や生活習慣を見直すことで発生を最小限に抑えることは可能です。まずはできることから少しずつ始め、将来の健康を守りましょう。