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「魚を食べると頭がよくなる」と聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。青魚を中心に多く含まれる「DHA」は、記憶力や学習能力の低下を予防するだけでなく、中性脂肪の減少やコレステロール値の改善にも効果が期待されています。ただし、DHAは体内で自動生成されないため、普段の食事から意識して摂取することが必要です。
本記事では、DHAの働きや摂取することのメリット、DHAを多く含む食品、効率的な摂取方法と注意点について詳しく解説します。
1.DHAとは?
DHAは正式名称を「ドコサヘキサエン酸」と呼び、私たちの体に欠かすことのできない必須脂肪酸の一つです。人間の脳や目の網膜、心臓(心筋)、胎盤や精子、母乳にも含まれており、人体において重要な役割を担っています。
DHAは魚油や食物油に豊富に含まれ、体内で合成できない「不飽和脂肪酸」に分類されます。不飽和脂肪酸には「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」の2種類が存在しますが、DHAは多価不飽和脂肪酸の「n-3系(オメガ3)脂肪酸」に属す栄養素です。脳や神経組織の機能維持、脂肪燃焼の促進などさまざまな働きを持つ一方で、体内で自動生成されないため食事を通して摂取する必要があります。
2.DHAを摂取するメリット
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「魚を食べると頭がよくなる」と言われる理由にはDHAが大きく関係しています。ほかにも、DHAを摂取することによりさまざまな健康への効果が期待できますが、ここでは主なメリットを2つ紹介します。
学習能力や認知機能の低下予防
DHAは「脳の栄養素」とも呼ばれる重要な栄養素です。脳や神経組織の機能活性化に役立つほか、記憶をつかさどる脳の器官「海馬(かいば)」の機能維持にもDHA量が大きく関係しています。積極的に摂取することで、学習能力や記憶力・言語能力などの認知機能低下を防ぎます。
また、妊娠中の方はお腹にいる赤ちゃんのためにDHAをしっかり摂取するようにしましょう。DHAは子どもの脳の発達に影響するだけでなく、母乳にも含まれる栄養素のため、妊娠中はもちろん、授乳期にも摂取するのがおすすめです。
中性脂肪の低下とコレステロール値の改善
DHAには中性脂肪を減らすとともに、HDL(善玉)コレステロールを増やす働きもあります。HDL(善玉)コレステロールは、血液中に存在する余分なLDL(悪玉)コレステロールを減らして血流を改善する役目もあるため、動脈硬化や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病の予防につながります。
3.DHAが多く含まれる食品
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DHAは食事から摂取する必要がありますが、とくに多くのDHA量を含んでいる食品には次のようなものがあります。
青魚
青魚とは背の青い魚のことで、DHAの宝庫とも言える食材です。マグロやサバ、サンマなどが代表的で、DHAは脂部分に豊富に含まれています。とくに脂がたっぷりの「トロ」「目玉」がおすすめです。
ただし、n-3系(オメガ3)脂肪酸は空気・光・熱に触れると酸化して、その健康効果も減少します。魚からDHAを摂取する際には、なるべく新鮮な魚を取り入れて生のまま摂取したり、多くの脂がのる旬の魚を選んだりしましょう。
また、DHAをより手軽に摂取できる加工品として、魚の缶詰がおすすめ。缶汁にも豊富にDHAが含まれるため、捨てずに汁ごと利用するのがポイントです。ただし、塩分を多く含むので摂り過ぎには注意してください。
えごま油やアマニ油
植物油の中でもえごま油とアマニ油は、DHAをはじめとするn-3系(オメガ3)脂肪酸が豊富です。サラダ油に含まれる量が小さじ1杯(約4g)中0.3gに対して、えごま油とアマニ油は2.3gものn-3系(オメガ3)脂肪酸を含んでいます。
ただし、n-3系(オメガ3)脂肪酸の特性上、えごま油とアマニ油は炒めたり揚げたりするなど加熱調理には不向きです。そのまま使えるドレッシングにおすすめで、青魚のお刺身やカルパッチョなどに合わせて利用すれば効率よくDHAを摂取できます。
クルミ
ナッツ類の中でクルミには最も多くのn-3系(オメガ3)脂肪酸を含んでいます。ひとつかみ程度のクルミ(約28g)から2.5gのn-3系(オメガ3)脂肪酸を摂れると言われています。クルミは調理なども必要なく、おやつ感覚で食べられるため、いつもの食生活にプラスワンで気軽に取り入れられます。
4.DHAの効率的な摂取方法
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DHAを多く含む食品を摂る時には食べ方と食べるタイミングを工夫して、より効率よくDHAを摂取しましょう。ここでは、摂取時に意識したい2つのポイントを紹介します。
なるべく生で摂取する
とくに青魚の場合は、調理をすることで魚の脂が落ちてしまいやすいため、DHA量を最大限摂取するなら生の状態がおすすめです。お刺身で食べる場合のDHA量が100%とすると、焼く・煮るの場合はその約80%に、揚げてしまうと約50%にまでDHA量が低下してしまいます。
もし調理して食べる場合も、煮物であれば煮汁まで飲んだり、魚の脂を逃がさないために蒸し料理にしてみたりと、ちょっとした工夫で多くのDHA量を摂取することができます。
朝食で摂取するとより効果的
時間栄養学に基づくと、DHAの健康効果を高めるためには朝に摂取を行う方が良く、中性脂肪を低減する効果も期待できると言われています。朝は忙しく時間がないという方も多いかもしれませんが、えごま油やアマニ油のドレッシングをかけたサラダや缶詰など、朝食でDHAを摂取するよう心がけてみましょう。
5.DHAを摂取する際の注意点
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健康効果が期待できるDHAですが、摂取する際には気を付けたい2つのポイントがあります。
サプリメントや内服薬との併用は良くない場合も
DHAには血液をサラサラにする作用があります。そのため、血液凝固を防ぐことを目的とした健康食品やサプリメントと飲み合わせると出血が止まりにくくなる可能性も。
また、DHAは血糖値を上昇させる作用も持つため、糖尿病の治療薬を併用している方は薬の効果が弱まらないよう、かかりつけ医と相談しながら摂取することをおすすめします。
妊娠中・授乳中の方は魚に含まれる水銀に注意
妊娠中・授乳中の方はDHAを積極的に摂ることをおすすめしますが、魚から摂取する際は水銀含有量にも注目するようにしましょう。魚の種類によっては自然界に存在する水銀を多く取り込んでいる場合があり、食事を通して人間の体内に水銀が一定量以上蓄積すると、お腹の赤ちゃんに影響を与えてしまうこともあります。
とくに本マグロやインドマグロ、キンメダイなどは水銀が多く含まれていると言われているため、それら注意が必要な魚は1週間に合計80gまでの摂取に抑えてください。一方、キハダ、ビンナガ、メジマグロ、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなどは「とくに注意が必要でないもの」とされているため、妊娠中・授乳中の方はこれら魚を摂るようにすると安心です。
6.健康維持に効果的なDHAを効率よく摂取しよう!
DHAには、脳や神経組織の機能向上や血流改善などの健康効果が期待できます。人体にとって欠かせない栄養素ながら体内で合成されないため、日頃の食事から摂取することを意識して、DHAを豊富に含む食品を積極的に取り入れましょう。