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「最近、体がだるい」「何をしても疲れが取れない」と感じることはありませんか?十分な睡眠や休息を取っても改善されない倦怠感は、単なる疲労ではなく、体や心のトラブルが隠れている可能性があります。放置すると日常生活に支障をきたすこともあるため、原因や症状を正しく理解し、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。
本記事では、倦怠感の原因や考えられる病気、受診目安、セルフケアの方法について解説します。
1.倦怠感とは?
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倦怠感は、体が重く感じたり、力が入らなかったりする状態を指します。日常的な疲れとは異なり、休息や睡眠を十分に取っても改善されにくいのが特徴です。
身体だけでなく、精神的にも疲れを感じることが多く、何もしていないのにやる気が出なかったり、集中力が続かなかったりするケースがあります。倦怠感は一時的な疲労ではなく、体や心に何らかの不調が隠れているサインかもしれないので注意しましょう。
倦怠感の主な症状
倦怠感の症状には個人差がありますが、一般的に以下のような特徴が挙げられます。
・朝起きても疲れが取れない
夜しっかりと寝ているにもかかわらず、目覚めた時から疲れを感じることがあります。
・体が常に重く、だるい
体全体に力が入らず、日常生活に負担を感じやすくなります。
・何をするにもやる気が出ない
精神的に疲れていて、日常生活や仕事に対して無気力になることがあります。
・集中力が続かない
倦怠感によって思考が鈍り、仕事や学業などに集中できなくなります。
・日常生活や仕事がつらく感じる
些細なことでも疲れを感じるため、今までできていたことが難しくなります。
・微熱や頭痛、食欲不振
倦怠感が上記のような身体的な症状として現れることもあります。
倦怠感とだるさの違いは?
「倦怠感」と「だるさ」は一見似ているように思えますが、それぞれ異なる意味を持っています。「だるさ」は、一般的な疲れや一時的な体の重さを指し、十分な休息を取ることで改善されることがほとんどです。
一方の「倦怠感」は、医学的な観点では、慢性的な体調不良や病気のサインとして捉えられます。倦怠感は単なる休息では解消されず、長期間続く場合には健康上の問題が隠れている可能性があるため、注意して経過を観察することが大切です。
2.倦怠感の主な原因
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倦怠感の原因には、生活習慣の乱れや精神的なストレス、さらには体の病気などが関係していることがあります。ここでは主に3つの原因について解説します。
生活習慣の乱れ
睡眠不足や食生活の乱れ、運動不足といった生活習慣の乱れは、倦怠感の主な原因の一つです。栄養バランスの偏りによってエネルギー不足になってしまったり、運動不足により血行不良や代謝の低下を引き起こしたりします。
これらの生活習慣の乱れが長期化すると慢性的な倦怠感につながるため、日々の生活の中で改善が必要です。
精神的なストレスやメンタルの不調
精神的なストレスが長期間続くと、自律神経の乱れが生じ、倦怠感を引き起こすことがあります。過度なストレスやプレッシャーが積み重なって精神的に疲れてしまい、身体にも影響が及びます。
また、うつ病や適応障害などにおいても倦怠感が現れることがあります。やる気が出ない、無気力感が続くといった症状が特徴です。
体の不調や病気のサイン
倦怠感が長期間続く場合、体に何らかの病気が隠れている可能性があります。例えば、甲状腺機能低下症や貧血、糖尿病などが挙げられます。
これらの病気が潜んでいる場合、身体のエネルギー代謝に影響を与え、倦怠感を引き起こすことがあります。また、自律神経の乱れも倦怠感を引き起こす原因の一つです。体の不調や病気が原因である場合、自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。
3.倦怠感が長引く場合に疑われる病気
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倦怠感が長引く場合、以下の病気が関係していることがあります。病気が原因である場合、早期の発見と治療が必要です。
貧血
貧血は、血液中のヘモグロビンが不足することにより、酸素の供給が十分に行われなくなる病気です。特に鉄欠乏性貧血は女性に多く見られ、倦怠感の原因となります。貧血の主な症状は、体のだるさ、動悸、息切れ、顔色が悪くなることです。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、体の代謝が遅くなり、倦怠感や冷え性、むくみなどが現れます。甲状腺機能低下症の症状には、体重増加や疲れやすさが含まれることがあり、放置すると生活に支障をきたすことがあります。
糖尿病
糖尿病では、血糖値が高くなり、エネルギー源であるブドウ糖が細胞に取り込まれにくくなります。そのため、体はエネルギー不足を感じ、倦怠感が現れます。糖尿病の主な症状は、慢性的な疲れ、喉の渇き、頻尿、体重減少です。
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は、原因不明の倦怠感が6カ月以上続く病気です。極度の疲労感が日常生活に支障をきたし、休息を取っても改善しません。筋肉痛や集中力の低下が伴うことがあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸が停止してしまう病気です。睡眠の質が低下することで、日中の倦怠感や眠気が強くなり、集中力も低下します。いびきや起床時の頭痛、喉の渇きも特徴的です。
うつ病や適応障害
うつ病や適応障害は、精神的な障害が原因で倦怠感を引き起こします。気分の落ち込みや無気力感が強く、日常生活に対する興味が薄れます。疲れやすさや、やる気の低下が特徴的です。
4.倦怠感がある場合、医療機関はいつ受診すべき?
倦怠感が長期間続く場合、放置せずに医療機関を受診することが重要です。特に以下の症状が続く場合は、受診を検討しましょう。
受診を検討する症状
・十分な休息をとっても1週間以上倦怠感が続く
・微熱、体重減少、食欲不振を伴う
・日常生活に支障が出るほどのだるさ
何科を受診する?
倦怠感の原因が特定できない場合、まずは「内科」を受診しましょう。内科では、血液検査やホルモン検査などによって原因を探ります。また、精神的なストレスやうつ病が疑われる場合は心療内科や精神科、更年期症状やホルモンバランスの乱れが考えられる場合は婦人科への相談も可能です。ひとまず、かかりつけの病院を受診するのもよいでしょう。
5.倦怠感を軽減するセルフケア
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倦怠感があるとき、自宅で簡単に取り入れられるセルフケアをいくつかご紹介します。日常生活の中で少し意識するだけでも、倦怠感の軽減や改善が期待できます。
睡眠の質を高める
質の良い睡眠を取ることが倦怠感の改善には欠かせません。就寝時間と起床時間を固定し、規則正しい生活を心がけましょう。また、寝室の環境を整え、就寝前のスマホやカフェインの摂取をなるべく避けましょう。
栄養バランスの良い食事を心がける
鉄分やビタミンB群、タンパク質を積極的に摂取することで、倦怠感の予防ができます。特に鉄分は貧血予防に効果的で、ビタミンB群は疲労回復を助けます。甘いものを食べすぎると血糖値が急上昇し逆に疲れやすくなるため、食べすぎには気を付けましょう。
軽い運動やストレッチを行う
軽い運動やストレッチは、血行を促進し、体のだるさを軽減する効果があります。無理なくウォーキングやストレッチを行うことで、気持ちがリフレッシュするといった効果もあります。腹式呼吸を意識し、ゆっくり息を吐き出すことで自律神経が整います。
ストレスを発散する
ストレスを軽減するために、趣味やリラックスする時間を持つことが大切です。深呼吸や瞑想、お風呂にゆっくり浸かる時間を大切にしましょう。
6.まとめ
倦怠感は、単なる疲れではなく、体や心の不調のサインである場合があります。十分な休息を取っても改善されない場合や、日常生活に支障が出るほどの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
また、日頃からセルフケアを意識して、生活習慣を整えることで倦怠感の予防にもつながります。「体がだるい」と感じたら、まずは原因を見極め、適切に対処して健康な毎日を取り戻しましょう。