情報掲載日:2024/12/08
咳を和らげる方法は?咳が止まらない時の応急処置や受診の目安も解説

自然に治るだろうと思っていた咳が長い間止まらず、お悩みの方は少なくないでしょう。長引く咳には病気が隠れている可能性もあるため、夜に咳がひどくなって眠れない方は早めに医療機関を受診してください。

本記事では、夜に咳がひどくなる理由や症状が長引く原因、今すぐできる咳を和らげる対策法、受診の目安について詳しく解説します。

1.咳が起こるメカニズム

咳が起こるメカニズム

咳は、異物を肺や気管などの呼吸器に侵入させないように防ぐ働きがあります。

空気中にはチリやほこり、細菌、ウイルスなどの異物が存在しており、人間は呼吸をする時に鼻や口からそれら異物を吸い込みます。外から異物が入り込むと、まず気道の粘膜表面にあるセンサーが反応し、脳の咳中枢に刺激を伝えます。次に脳から横隔膜や肋間膜などの呼吸筋に指令が送られることで、咳が出るという仕組みです。

また、異物により気道が炎症し、粘り気の強い痰が生じた際にも、この痰を排出するために咳が起こるようになっています。


2.夜に咳が起こりやすいのはなぜ?

夜に咳が起こりやすいのはなぜ?

夜に咳が止まらず、なかなか寝付けないという経験をした方も多いでしょう。一般的に夜間の体を休める時間帯は咳が起こりやすいと言われていますが、その要因は主に2つあります。

一つ目は、副交感神経が優位になるためです。呼吸や体温、血圧などを自動調節してくれる自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、夜は体をリラックスさせる働きを持つ副交感神経が優位になります。副交感神経が優位な状態だと気管支は狭まり、咳も出やすくなります。

二つ目は、乾燥で気管支が刺激されるためです。とくに就寝中に口呼吸になりやすい人や、湿度の低い部屋で寝ている場合は、のどが乾いて気管支の粘膜が刺激され、咳を発生させる原因になります。

自宅でも簡単にできる応急処置

夜に咳が止まらなくなってしまった時でも、ちょっとした工夫で一時的に咳を和らげることができます。応急処置として以下の3つを試してみてください。

  • 部屋を加湿する
    部屋の湿度は40~60%が快適とされています。それを下回る場合は、加湿器を使用するなどしてのどの乾燥を防ぐようにしましょう。加湿器を用意することが難しければ、濡れタオルをハンガーに干したり、水の入ったコップをベッドの近くに置いたりしておくだけでも加湿することができます。
  • のどを温める
    冷えは気道や気管支の粘膜に刺激を与えて敏感にします。首にタオルやネックウォーマーを巻いたり、就寝前にハーブティーやはちみつ入りの温かい飲み物を飲んだりして、体の内外からのどを温めると効果的です。
  • 就寝姿勢を変える
    咳がひどい時は、上半身を高く、横向きの姿勢で寝るようにしましょう。枕やタオルなどを重ねて置くことで実践でき、気道の開きを確保して、呼吸を楽にします。

3.咳が長引く原因は?病院を受診した方がいい目安

咳が長引く原因は?病院を受診した方がいい目安

咳が長引いていても、「ただの風邪だから」「そのうち治るだろう」と軽く考え、放置しておくことは危険です。とくにひどい咳はのどや胸に大きな負担をかけやすく、気道周辺の炎症や肋骨の骨折を引き起こすこともあります。

咳の原因が風邪やインフルエンザであれば、病院で薬を処方してもらうことで改善が見込めるため、速やかに診察を受け、治療を受けるようにしましょう。

受診の目安は2週間!病気が隠れている可能性も

2週間以上咳が続く場合、ただの風邪やインフルエンザではない可能性があります。咳を伴う病気として、喘息や気管支炎、マイコプラズマ肺炎などが考えられます。

また2週間経たずとも、息苦しさがある、血の混じった痰が出る、発熱や倦怠感があるなど他の症状の見られる場合は呼吸器専門医に早めに相談してください。早期発見・治療により病気の進行を抑えることができます。

これらのほか、花粉やアレルギーなどが原因で咳が長引くこともあります。ただし、いずれの場合も症状を悪化させないために、早めに医療機関を受診することをおすすめします。


4.長引く咳を和らげる方法

長引く咳を和らげる方法

咳が長引く時には、のど粘膜をうるおして乾燥から守ったり、普段の習慣を見直してみたりすると咳を和らげることができます。手軽に取り入れられるのど飴やトローチに加えて、ぜひ以下の5つの方法も試してみてください。

水分をこまめに摂る

のどの乾燥を防ぐためには、加湿して湿度を保つほか、こまめに水分を摂ってのどを常にうるおしておくようにしましょう。白湯など温かい飲み物なら、のどを温めて冷えを防ぐこともできておすすめです。

咳を和らげるのに効果的なツボを押す

東洋医学では、『肺の気の通り道』にあるツボを押すことで咳を和らげられると言われています。なかでも、「尺沢(しゃくたく)」「中府(ちゅうふ)」と呼ばれる部分は、自分でも押しやすく咳止めに効果的なツボです。

「尺沢(しゃくたく)」は、ひじの内側(ひじを曲げるとシワができる部分)の、中央から指2本分親指側に動かした場所です。指で強めに押しながら、ひじを曲げ伸ばしして圧迫します。また、鎖骨下のくぼみから指1本分下にある「中府(ちゅうふ)」は、深い呼吸とともに、指で気持ちいと感じる程度の強さで押してみてください。

香辛料の入った食べ物やお酒は控える

香辛料や辛みの強い食べ物、アルコール類などの刺激物は、気道を刺激して咳を誘発させます。また、熱すぎる物も、のどの水分を奪って粘膜を傷つけてしまうため、咳を和らげたい時はなるべく控えるようにしましょう。

禁煙する

喫煙者の場合は、咳が治まるまで禁煙を心がけましょう。タバコの煙やニコチンは気道の粘膜に刺激を与え、日常的に吸っていると呼吸器の機能を低下させます。肺がんをはじめ、慢性気管支炎や喘息などの呼吸器疾患を招く原因にもなるため、喫煙習慣のある人は禁煙することをおすすめします。

市販薬を使用する

すぐに病院に行けない場合や、どうしても一時的に咳を止めたいといったやむを得ない状況では、市販薬を使用する方法もあります。

ただし、市販薬を購入する際は、配合成分や年齢制限に注意が必要です。一般の咳止め薬にはコデインという成分が含まれる場合があり、この成分は12歳未満の小児への使用が禁忌とされているため、購入前に薬剤師に相談してください。


5.咳が長引く場合は早めの受診がおすすめ

咳を和らげるためには、のどにいい生活環境を整えるほか、刺激となる食べ物は控えたり、禁煙を試みたりなど、まずはセルフケアから始めてみましょう。

しかし、2週間以上続く咳には注意が必要です。喘息や気管支炎などの病気が原因の可能性もあるため、早めに医師に相談するようにしてください。