片頭痛とは、血管の拡張により、こめかみ部分にズキズキとした拍動性の痛みを生じる頭痛です。原因は未だ解明されていないものの、ストレスや生活習慣、天候・気候の変化など、さまざまな要因によって誘発されるといわれています。
本記事では、片頭痛の症状の特徴や発生メカニズム、片頭痛の治し方・対処法について詳しく解説します。
1.片頭痛とは?
片頭痛とは、ズキズキとした拍動性の痛みを生じる頭痛です。血管の拡張によるもので、頭の片側、もしくは両側のこめかみや目のあたりに痛みが生じます。痛みは4時間程度でおさまることもあれば、数日間続くこともあります。
まずは、片頭痛の症状の特徴や、ほかの頭痛との違いを紹介します。
片頭痛の症状の特徴
片頭痛の痛みは重く、生活に支障をきたすことも少なくありません。身体を動かすと痛みが悪化するため、仕事や家事ができないケースも多くあります。吐き気や嘔吐、下痢などの消化器系の症状を伴う場合もあり、光や音、においなどに過敏になりやすくなります。
また、前兆として視覚症状のひとつ「閃輝暗点(せんきあんてん)」が出現することがあるのも特徴です。閃輝暗点とは、視野の真ん中からギザギザした光が徐々に広がり、視界の一部が遮られる現象です。そのほかに、前兆としてチクチク感や感覚が鈍る感覚症状、言葉が出なくなる言語症状などが現れる場合もあります。
片頭痛の積極的な治療が必要かどうかは、吐き気があるか、光や音が過度に気になるか、身体を動かすと頭痛が増悪するか、頭痛によって生活に支障が出ているかによって判断するとよいでしょう。
ほかの頭痛との違い
片頭痛以外の頭痛としては、「緊張型頭痛」「群発頭痛」が挙げられます。
緊張型頭痛は頭や肩、首などの筋肉の緊張や、ストレスなどによって起こる頭痛です。頭を締め付けられるような痛みが出現しますが、ほとんどの場合、片頭痛ほどひどくはありません。軽い胃のむかつきなどは見られますが、嘔吐することはなく、生活にそれほど影響を及ぼさない点も片頭痛との違いです。
一方の群発頭痛は、耐え難いほどの激しい痛みを生じる頭痛です。動くと痛みが悪化する片頭痛とは異なり、じっとしていられないほどの強烈な痛みが片側の目の奥あたりに起こります。また、群発頭痛は女性より男性に多く見られることも特徴です。群発頭痛が疑われる場合は、医療機関の受診をおすすめします。
2.片頭痛の発生のメカニズム
片頭痛の原因ははっきりと解明されてはいませんが、現時点では発生メカニズムとして「三叉神経血管説」が有力視されています。
三叉神経血管説とは、何らかの原因で刺激された三叉神経が炎症を起こす物質を放出し、脳硬膜の血管のまわりに炎症が起きて片頭痛の痛みが出現するという説です。
ここからは、片頭痛を誘発すると考えられている要因について紹介します。
片頭痛の誘因は?
片頭痛を誘発したり、痛みを悪化させたりする因子として、次のものが挙げられます。
- ストレス
- 疲労
- 睡眠不足・過眠
- 女性ホルモンの変化
- 温度差
- 気圧の変化
- 脱水
- アルコール
- カフェイン
- 食べ物
片頭痛はストレスが蓄積しているときだけでなく、ストレスから解放されたときに起こるケースもあります。チョコレートやチーズ、ナッツなどの食べ物が片頭痛の誘因となっている場合もあります。
自分自身の片頭痛の誘発・増悪因子を見つけるには、どのような状況で症状が出たか、記録を取っておくことをおすすめします。
3.片頭痛はどんな人がなりやすい?
片頭痛は男性よりも女性に起こりやすいといわれています。世界的に見ても、女性の有病率は男性の2~3倍です。
とくに30~40代の女性に片頭痛が起こりやすい理由として、女性ホルモンが関係していることが挙げられます。エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌減少とともに、脳内のセロトニンが減少し、痛みに過敏になって片頭痛が起きやすくなるのです。
また、科学的には解明されていませんが、完璧主義や努力家、神経質な性格の人も片頭痛になりやすいといわれています。
4.片頭痛の治し方は?痛みを和らげる方法
ここからは、ご自宅ですぐにできる片頭痛を和らげる方法をご紹介します。
市販薬を活用する
片頭痛の痛みには、ドラッグストアや薬局などで購入できる市販の解熱鎮痛剤が役立ちます。「アセトアミノフェン」「イブプロフェン」を主成分とする頭痛薬がおすすめです。ただし、市販薬を月に10日以上飲むと、薬剤の使用過多による頭痛が起こる可能性があるため注意しましょう。
また、中程度~重度の片頭痛の代表的な治療薬として、セロトニン神経系を調節するトリプタン系薬剤が挙げられます。しかし、こちらは市販されていないため、医師に処方してもらう必要があります。
暗く静かな場所で安静にする
片頭痛の痛みは音や光、においなどで悪化する場合があります。また、からだを動かすことで痛みがひどくなるケースもあります。
片頭痛が起きたら、なるべく刺激の少ない環境で安静にすることが第一です。まぶしい光や騒音のない、落ち着いた環境で過ごしましょう。
こめかみを冷やす
片頭痛はズキズキと脈打つような痛みが特徴です。痛むこめかみ部分を冷却シートやアイスパックなどで冷やすことで、痛みの緩和が期待できます。
カフェインを摂取する
軽度の片頭痛ならば、カフェインの摂取で一時的に痛みを緩和できる可能性があります。コーヒーなどに含まれるカフェインには血管収縮作用があり、片頭痛の原因である血管拡張を抑制するのです。
ただし、人によってはカフェインによって片頭痛が誘発されたり、痛みが悪化したりする場合もあるため、注意が必要です。
ツボを指圧する
片頭痛の痛みの緩和には、「頷厭(がんえん)」というこめかみ部分のツボ押しも効果的です。頷厭は食べ物を咀嚼すると動く部分にあります。
左右の親指で頷厭を同時に押さえ、息を吐きながら10秒ほどかけてゆっくり押し、その後ゆっくり指を離します。これを数回繰り返しましょう。
5.片頭痛は対策できる?
片頭痛には生活習慣やストレスが深く関わっています。そのため、生活習慣の改善やストレス解消は、片頭痛対策につながると考えられています。
ここからは、片頭痛の対策方法について紹介します。
適切な睡眠時間を取る
睡眠と片頭痛は密接に関わっています。寝不足も寝過ぎも片頭痛の発症・増悪リスクとなるため、質の良い睡眠を適度に取り、自律神経のバランスを整えることが重要です。
適切な睡眠時間は7~9時間といわれています。起床時間や就寝時間を一定にして、規則正しい生活を心がけましょう。
ストレスを溜め込まない
過度なストレスも、ストレスからの解放も、片頭痛の発症リスクを高めるといわれています。まずは自分に合ったストレス解消方法を見つけ、適度にストレスを発散する習慣をつけましょう。
片頭痛の記録をつける
片頭痛が起きたときに記録をつけておくことも、予防・対策方法のひとつです。
片頭痛の起こった日時や痛みの程度・継続時間などをはじめ、痛みが起きる前の出来事や痛みが悪化したときに摂取したものを記録しておきます。薬を服用した場合は、その薬の名称についても記載しておきましょう。
記録を見返すことで、片頭痛の契機や増悪因子がある程度絞り込めるようになります。医療機関で治療する際にも大変重要な情報となるため、ぜひ記録を取っておきましょう。
6.日頃の生活を見直して、片頭痛を予防しよう
片頭痛は誰にでも起こりうる頭痛です。片頭痛にはさまざまな要因がかかわっているとされますが、生活習慣やストレスなどのセルフケアで発作の頻度を下げることは可能です。まずは毎日の生活を見直して、片頭痛対策に取り組みましょう!