季節にかかわらず手足が冷たかったり、体が温まりにくかったり……。そういったお悩みを抱えている方は、冷え性かもしれません。
本記事では冷え性の原因を解説し、セルフケアでの改善方法をご紹介します。冷え性でお悩みの方はぜひご参考にしてください。
1.冷え性の原因は?女性に多いのはなぜ?
冷え性は誰にでも起こりうるものですが、男性よりも筋肉量の少ない女性の方がなりやすいといわれています。女性は男性よりも皮下脂肪が多く、寒さに強い傾向がある一方で、一度冷えた脂肪はなかなか温まりにくいという性質も。再び体温を上昇させるまでに時間がかかるため、その分冷えを感じやすいのです。
さらに女性特有の月経や更年期障害も、血の巡りを停滞させ、冷えを引き起こす原因のひとつです。更年期障害は一般的には「ほてり」や「のぼせ」などの症状が出やすいものの、人によって症状はさまざまで、反対に体が冷えやすくなるケースもあります。
これらを踏まえたうえで、冷え性を引き起こす主な原因について詳しく紹介します。
筋肉量の少なさ・低下
筋肉は人体における最大の熱エネルギー産生器官といわれています。また、体内には動脈と静脈の2種類の血管が通っていますが、心臓から全身へ送り出す血液が流れる動脈に対して、静脈は筋肉の伸び縮みによって体の末端から心臓へ向かう血液を流しています。
そのため筋肉量が少ない、もしくは運動不足や加齢によって筋肉量が減ると、熱の産生量が低下するだけでなく、全身を流れる血液が滞り、冷え性になるリスクが上がるのです。
自律神経の乱れ
季節によらず人間の体温が保たれているのは、自律神経による調整のおかげです。そのため、自律神経の乱れから手足の冷えが生じるケースがあります。
自律神経が乱れる要因としては、偏った食事や睡眠不足などの不規則な生活習慣や過度なストレス、急激な気温差などが挙げられます。
とくに仕事や家事・育児に忙しい世代では、ストレスに注意しましょう。ストレスを感じると自律神経のうち交感神経が優位になり、体が緊張状態に。末梢血管も収縮し続けるため、温まった血液が届かず、手足の冷えにつながることがあります。
血行不良
血液は体温調節の役割を担っているため、運動不足やストレス、食生活の乱れなどによって全身の血行不良が起こると、冷え性を引き起こしやすくなります。また、サイズのきつい服や下着、ストッキングなどによる締め付けで血流が妨げられている場合も、冷え性の原因になることがあります。
2.冷え性を改善するセルフケア
冷え性が悪化すると、頭痛や肩こり、肌荒れ、便秘、下痢、腰痛、生理不順、膀胱炎など、さまざまな症状を併発し、全身に悪影響を及ぼすこともあります。冷え性はただ温めればいいわけではなく、全身のセルフケアによって改善を図ることが大切です。
栄養補給をする
十分な栄養が摂れていないと、体内で熱エネルギーを作り出すことができません。まずは食事回数や内容を見直し、栄養をしっかり補給してあげましょう。記事後半で紹介する、冷え性改善に良い食べ物などを積極的に取り入れることをおすすめします。
自律神経を整える
自律神経の乱れを招いている原因を取り除くことが最優先ですが、ゆっくり湯舟に浸かったり、趣味の時間を確保したりするなどして、リフレッシュすることも有効です。
血の巡りを整える
全身にまんべんなく熱が行き渡るように、血の巡りを整えてあげましょう。血液を送り出すための筋肉量を上げることも有効です。
人によっては手足のみの末端冷え性や、下半身は冷えているのに上半身は暑い「冷えのぼせ」などによって、局所的に冷えやすくなっているケースもあるかもしれません。だからといって手足だけを温めるのではなく、白湯を飲んだり、腹巻きなどを身に付けたりして内臓部分もしっかりと温めてください。
また、血液の巡りを妨げないように、ゆとりのある服や下着などを着用するといいでしょう。
むくみを解消する
体内にある水は、重力により低い方へ流れます。手足や下半身に水が溜まると、その分冷えやすくなってしまいます。体内の余分な水を取り除き、手足や下半身のむくみを取ることが先決です。体内の水の移動を妨げるきつめの服装は避け、筋肉量を上げてむくみ解消に努めましょう。
これらのセルフケアに加えて、冷え性の改善には漢方薬が処方されることもあります。自分に合った漢方薬を試してみたい場合は、医師や薬剤師に相談してみましょう。
3.冷え性の改善に良い食べ物
冷え性の改善に役立つといわれている食べ物・飲み物は、以下のようなものがあります。
- ショウガ、ネギ、にんにくなどの香味野菜
- こんにゃく、ごぼう、ニンジン、やまいも、レンコンなどの根菜類
- 天然塩
- 味噌、醤油などの大豆発酵食品
- 卵、肉、赤身の魚
- 梅干し、たくあんなどの漬物
- さくらんぼ、桃
- 紅茶
反対に、冷え性を悪化させるおそれがあるのは、トマトやキュウリ、ナスなどの夏野菜、カフェインを多く含むコーヒーや緑茶などです。もしも朝に食欲がない場合は、白湯を1杯飲むことから始めてみましょう。ゆっくりと内臓が温まり、食欲が湧いてきます。
4.冷え性に悩んでいる人はセルフケアから取り組もう
「冷えは万病のもと」ともいわれるように、冷え性が悪化するとさまざまな症状を引き起こします。まずは冷え性の改善が期待できるセルフケアを試してみましょう。もしも症状が改善しない場合は、医療機関を受診してください。