情報掲載日:2024/10/10
【医師監修】肩甲骨まわりが痛い原因は肩こり?自分でできる対処法も紹介

肩甲骨まわりの痛みはすべて肩こりが原因だと思っていませんか?実は、単なる肩こり以外の原因によって痛みが生じているケースもあります。

本記事では肩甲骨の痛みの原因と、その対処法について詳しく紹介します。

1.肩甲骨とは?

肩甲骨とは、背中の上部にある逆三角形の平らな骨です。鎖骨や上腕骨とつながり、上腕骨との間に肩甲上腕関節、いわゆる肩関節を形成します。

からだの中で動く範囲が最も大きい骨で、関節窩(かんせつか)という関節のくぼみ部分が浅いために脱臼しやすいという特徴があります。


2.肩甲骨が痛い時の原因は?

肩甲骨が痛む原因は、肩だけにあるとは限りません。肩甲骨の痛みの原因となりうる代表的な疾患について紹介します。

肩まわりの炎症

肩関節には多くの筋肉や腱、靭帯、神経が集まっています。そのため、筋力の動きや周囲組織の弾力が、加齢などにより低下することで炎症が生じやすいのです。肩まわりの痛みを生じる疾患として、代表的なものが「肩こり」です。

肩こりは主に僧帽筋や肩甲挙筋などの筋肉の疲労が原因といわれていますが、慣れない運動で肩を酷使した後などは炎症を起こしていることも。痛みだけでなくこりや張り、さらに悪化すると頭痛や吐き気などの症状を伴うケースもあります。

40~50代によく見られる肩甲骨の痛みの原因としては、いわゆる「四十肩」や「五十肩」と呼ばれる肩関節周囲炎も挙げられます。これは加齢に伴う肩関節周囲組織の変性や炎症が原因です。

その他、肩まわりの痛みの原因としては、肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)や肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう)といった疾患も考えられます。骨折や外傷など原因がはっきりしている場合や、痛みが長く続く場合などは、医療機関を受診しましょう。

肩以外の問題

肩甲骨やその周囲組織以外の病気でも、肩の痛みが生じる場合があります。たとえば、変形性頚椎症頚椎椎間板ヘルニアなど、頚椎の圧迫や障害により、肩こりのような症状が起きるケースも。

また、心疾患や胆管・胆嚢の疾患、気胸などの関連痛(放散痛)として肩の痛みが生じることもあります。左肩に痛みがある場合は心筋梗塞や狭心症、右肩の場合は胆管結石や胆嚢炎が疑われます。ほかにも、リウマチ性多発筋痛症やがん(悪性腫瘍)などの全身疾患により、肩の痛みが生じる場合があります。


3.肩甲骨が痛い時のセルフケア方法

肩甲骨が痛む時は、まず自分でできる対処法を試してみましょう。

もしも痛みが改善しなかったり、症状が悪化した場合は、先に紹介した通り何らかの疾患が原因の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。

安静にする

痛みが強い時は、できるだけ腕を上げ下ろししたりせず、とにかく安静にしましょう。炎症を起こしている場合などに、無理に肩を動かすと悪化の原因になってしまいます。

肩甲骨まわりのストレッチ

肩まわりを意図的に動かすストレッチでは、筋肉の緊張緩和や血流・関節可動域の改善、痛みの軽減や怪我の予防などが期待できます。

肩関節の可動域が狭いと、上にあるものが取りづらいなど日常生活に支障をきたすことも多くなります。日ごろから肩関節の可動域が狭まらないように努めましょう

ここでは筋肉をほぐす「肩甲骨はがし」を紹介します。

  • 両肘を曲げて肩より上に上げ、手は軽く握って鎖骨のところに置きましょう。

  • 肋骨から肩甲骨をはがすイメージで、5秒かけてゆっくりと両肘をからだの後ろ側に引きます。

  • 肩甲骨を内側に寄せた状態のまま肘を下げ、力を抜きます。
    ※5回繰り返しましょう。

ストレッチは反動をつけずにゆっくり行うことがポイントです。ストレッチ中に痛みが出た場合や、痛みが強くなった場合は、無理せず直ちに中止してください。

生活習慣の見直し

肩甲骨まわりの痛みの改善に限らず、健やかなからだの維持にはバランスのとれた食事や質の良い睡眠は必要不可欠です。規則正しい生活を心がけましょう。

また、肩の痛みは姿勢の悪さなど、無意識のクセが原因となっていることも。パソコンやスマホを使用する際に、長時間、前傾姿勢を取り続けるのは避けましょう。片方の肩だけに負担をかけるショルダーバッグの使用は控え、両肩に均等に重さがかかるリュックへ変更するのがおすすめです。

肩こりなど、筋肉の緊張・疲労や血流の悪さから痛みが来ている場合は、適度な運動や冷え対策が有効です。大きく腕を振ってウォーキングするなど、肩を動かす運動を取り入れてみてください。冷え対策としては、入浴や蒸しタオルの他、使い捨てカイロやマフラー・ストールなどの活用もよいでしょう。

市販薬

肩の痛みが強い場合は、薬局で購入できる市販薬の使用も検討しましょう。

消炎鎮痛成分配合の塗り薬や湿布などの外用薬は、痛む部分に直接塗布・貼付します。ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬の内服薬も、痛みの緩和に有効です。

いずれも用量・用法を守って使用してください。痛みが治まらない場合や症状が悪化した場合は使用をやめ、医療機関を受診しましょう。

また、神経の修復にかかわるビタミンB群や、血流・筋肉の疲労改善をサポートするビタミンEも、肩こりの痛みの緩和に効果が期待できるといわれています。必要なビタミンを補える市販薬もあわせて検討してみてください。


4.普段の生活を見直して肩甲骨まわりの痛みを改善しよう

肩甲骨まわりの痛みは、筋肉の疲労や血流の悪さが原因になっていることがほとんどです。日ごろの生活習慣を見直して、肩甲骨まわりの筋力アップや血流改善に努めましょう。

また肩甲骨まわりの痛みの原因が、肩以外にあることもあります。安静にしていても痛い場合や、市販薬を使用しても良くならない場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。