痛みはないものの胃に不快感を覚えたり、食べたものがいつまでも残っているように感じたりすることはありませんか?本記事では胃がムカムカする時に考えられる原因とセルフケアの方法、病院を受診した方がいいケースを紹介します。
1.胃がムカムカする原因とは?
胃がムカムカする場合は、何らかの原因で胃の働きに負荷がかかっていると考えられます。胃がムカムカする原因の例を紹介します。
食べ過ぎ
普段よりも食べ過ぎたり、脂っこいものを食べた後に胃のあたりがムカムカする場合は、食べた物がスムーズに消化されず胃もたれを起こしている可能性があります。通常、食べた物は一時的に胃に蓄えられた後、胃液の働きによって消化され、小腸で吸収されますが、食べ過ぎると食べた物が胃に留まる時間が長くなり、胃もたれを起こしてしまうのです。特に、脂肪分が多く含まれる食べ物は消化に時間がかかるため、食べ過ぎると胃のあたりが重く感じたり、ムカムカとした不快感を覚えたりしやすくなります。
加齢
若い頃と比べて胃がムカムカすることが増えたという場合には、加齢による唾液の減少や、胃の蠕動運動(食べたものの消化を助け、胃から十二指腸へ送るための収縮)の低下により、胃もたれが起きやすくなっていることが考えられます。食事の内容が脂っこいものや、消化に時間がかかる繊維質のものに偏らないよう気をつけ、ゆっくりよく噛んでから飲みこむことを意識しましょう。
生活習慣
加齢と同様に、運動不足も蠕動運動を低下させることが知られています。また、胃に負担をかける喫煙や、自律神経のバランスの乱れにつながる睡眠不足も胃もたれの原因に。胃がムカムカする人は食事以外の生活習慣も見直してみましょう。
ホルモンバランスのゆらぎ
女性の場合は月経周期の影響で、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少し、ホルモンバランスがゆらいで胃がムカムカするケースもあります。また、女性ホルモンの分泌が低下する更年期には、自律神経の働きが乱れることで唾液の分泌量が減少し、消化能力が低下して胃もたれが起きやすくなるとも考えられています。
妊娠中の女性の場合は、つわりの一症状として胃もたれや吐き気などが現れることがあります。
ストレス
胃や腸など、消化器官の働きには自律神経が深く関わっています。過度なストレスにより自律神経のバランスが崩れると、消化機能が低下し、胃がムカムカすることも。
普段と同じ食事内容でも、疲れが溜まっている時や強くストレスを感じている時は胃もたれを起こしやすくなると考えられています。
病気
風邪やインフルエンザなどの感染症の初期症状として胃のムカつきが見られるケースもあります。胃の違和感とともに発熱がある場合は医療機関を受診して療養に努めましょう。
また、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎、イレウス(腸閉塞)、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、虫垂炎(いわゆる盲腸)、循環器疾患により、胃の不調が起きることもあります。
(例)胃がムカムカする時に疑われる疾患の自覚症状
機能性ディスペプシア | 食事するとすぐ飽満感を覚える、胃痛、吐き気 |
逆流性食道炎 | 胸やけ、胃もたれ、げっぷ、食事や唾液の飲み込みにくさ |
イレウス(腸閉塞) | 激しい腹痛、腹部膨満感、胃もたれ、便が出にくい |
胃潰瘍/十二指腸潰瘍 | みぞおち付近の痛み、吐き気、嘔吐、胃もたれ、胸やけ、げっぷ |
虫垂炎 | 初期は胃もたれ感、進行すると右下腹部に痛み |
循環器疾患 | 急に気分が悪くなる、胃もたれ、吐き気、みぞおち付近の痛み |
このように「胃がムカムカする」と感じる要因は様々です。胃がんや胃潰瘍の一因となるピロリ菌の感染でも胃もたれのような症状が現れるため、食事の量や内容に関係なく胃に不快感を覚える場合は、早期に内科や消化器内科、消化器外科で検査を受けることをおすすめします。
2.胃がムカムカする時のセルフケア
胃に違和感がある場合は、下記のようなセルフケアを試してみましょう。弱った胃の働きが正常に戻ると不快感がおさまります。
食事の見直し
食事の後の胃もたれで苦しさを感じる間は、無理に食事を摂らずに胃腸を休ませます。ただし、水分補給は欠かせません。胃をなるべく刺激しないように、沸かしたお湯を適温まで冷ました白湯をこまめに飲むと良いでしょう。
暴飲暴食や早食い、脂っこいものの摂り過ぎは、胃のムカムカを悪化させます。食べ過ぎ・飲み過ぎないように気を付けて、バランスの良い食事を心がけましょう。寝る直前の食事は、消化不良を招くため、夕食は就寝の2~3時間前までにとり、夜食や間食は避けてください。
食物繊維を多く含む食材(玄米などの穀類や豆類、キノコ類など)は、消化に時間がかかるため胃の調子が悪い時には控えることをおすすめします。何か口にしたい時には、おかゆや柔らかく煮込んだうどんなど消化吸収しやすい食事が適しています。
炭酸やアルコール類、香辛料、カフェインを含む飲み物などは胃に負担をかけてしまいます。また、タバコに含まれる有害物質も、胃もたれを悪化させる原因に。胃のムカムカがおさまらないうちは控えましょう。
生活習慣の見直し
運動不足や過度なストレスは、消化機能を低下させます。日頃から適度な運動を取り入れ、質の良い睡眠を十分にとり、規則正しい生活を心がけて自律神経のバランスを整えましょう。
仕事や育児などで悩みがあると気が塞ぎがちですが、健康のためには適度なストレス発散で気分転換をすることも重要です。友達との会話や芸術鑑賞など自分に合うリフレッシュ方法を見つけておきましょう。
市販薬の服用
ムカムカの原因が胃もたれなどの一時的な不調の場合は、次のような市販薬でセルフケアが可能です。
- 胃粘膜保護・修復薬
- 健胃薬
- 消化薬
- 胃酸分泌抑制薬
- 制酸薬
胃粘膜保護・修復薬は、胃の粘膜を丈夫にする薬です。健胃薬は生薬成分などが胃の働きをサポートするもので、消化薬には食べ物のでんぷんや脂肪を分解する消化酵素が含まれています。胃酸分泌抑制薬は余分な胃酸の分泌を抑える薬です。制酸薬は胃酸を中和し、胃の負担を和らげます。
市販薬の中には上記のような効果を複合的に発揮する「総合胃腸薬」もあります。複数の原因が思い当たる場合は、総合胃腸薬の服用を検討しても良いでしょう。
3.こんな症状がある場合はすぐに病院へ
胃のムカムカと同時に次のような症状や経過が見られた場合は、何らかの疾患の疑いもあるため我慢は禁物です。
- 発熱や下痢などの症状がある
- 極端な体重の減少をともなう
- 慢性的に胃もたれが続いている
- 胃のムカつきが徐々に悪化している
市販薬を所定の期間服用しても胃のムカムカが良くならない場合や、服用後に症状が悪化した場合にもすぐに医療機関を受診しましょう。
4.胃がムカムカする時は、食習慣からチェックを!
直近の食事以外に、日ごろの食習慣や生活リズムなども、胃のムカつきの原因となります。まずは食事や生活習慣を見直し、場合によっては市販薬を服用し、セルフケアで改善をはかりましょう。胃のムカつき以外に症状がある、市販薬を服用しても改善が見られないなどの場合は、思わぬ病気が隠れているおそれもあるため、自分で判断せず医療機関を受診してください。