情報掲載日:2024/11/06
【医師監修】鼻水が止まらない原因は?今すぐできる対処法を紹介します

風邪などの感染症が流行するシーズンや花粉の飛散時期に、鼻水が止まらず困ったことがある人も多いのではないでしょうか。鼻水が出る原因はいくつかあり、原因によって適した対処法が異なります。ここでは鼻水が出るメカニズムを解説しながら、鼻水が止まらない時に試したい対処法を紹介します。

1.鼻水(鼻汁)が過剰に出る原因は?

鼻水(鼻汁)が過剰に出る原因は?

透明で水っぽい時もあれば、黄色っぽくてドロドロしている時もある鼻水。そもそも鼻水は、鼻腔(鼻の内側)の粘膜から分泌される粘液や、粘膜の毛細血管から染み出した組織液、鼻から吸い込んだ空気が冷えて結露のように液体化した水蒸気などが混ざり合ってできています。

鼻水には本来、鼻腔内の湿度を保って粘膜を保護したり、細菌やウイルス、花粉、ほこりなどの侵入を防いだりする役割があります。鼻水は1日に2~6リットル作られていますが、鼻の奥から喉に流れて無意識のうちに飲みこんでいるため、普段意識することはほとんどありません。しかし、何らかの原因で過剰に分泌されて鼻水が止まらなくなると、生活に支障をきたすようになります。

鼻水が止まらない原因には下記のようなものが挙げられます。感染症やアレルギー性鼻炎には鼻水のほかにも症状があるので、周囲の環境や体調から原因を考えてみましょう。

風邪

風邪の原因となるウイルスが鼻や口を介して体内に侵入すると、まず上気道(鼻や喉)に付着し炎症を起こします。このうち、ウイルスや細菌が鼻腔で増殖し、鼻の中で炎症が起きたものが急性鼻炎(鼻かぜ)です。風邪の鼻水は、引き始めには無色透明でサラサラしているものの、徐々に黄色になり粘り気が出る特徴があります。

鼻水や鼻づまりのほかに、発熱や倦怠感、喉の痛みなどが見られたら風邪などの感染症が疑われます。インフルエンザで鼻水が出るケースは少なく、出たとしても少量と考えられています。

鼻水の原因として風邪が疑われる場合は栄養補給を十分に行い、休養に努めましょう。

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花粉症などのアレルギー性鼻炎

鼻の粘膜にアレルギーの原因物質(アレルゲン)が付着すると、免疫反応によって鼻の神経や血管が刺激されます。異物を取り除こうとする働きによって、くしゃみや鼻水などの症状が現れたものがアレルギー性鼻炎です。アレルギーの原因物質としては花粉(スギ、ヒノキ、ブタクサ、シラカンバなど)の他、ダニ、ほこり、ゴキブリ、猫や犬など動物の毛、フケなど様々なものが考えられます。

アレルギー性鼻炎は「通年性アレルギー性鼻炎」と「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」に大別できます。いずれの場合も透明で水っぽい鼻水が大量に出るのが特徴で、鼻水が喉の奥に流れこんで咳が出たり、睡眠中に苦しくて起きてしまうことも。また、重症化すると鼻腔の周りの副鼻腔(ふくびくう)に膿が溜まって副鼻腔炎を招くこともあるため、早めにケアしましょう。

花粉症などのアレルギー性鼻炎の対処としては、医療機関で検査を受けアレルギーの原因を特定したうえで、その物質との接触をなるべく避けることが重要です。

関連記事: 【医師監修】鼻水・鼻づまりは花粉症が原因?時期と症状でセルフチェック

血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)

一日の寒暖差がある場合、血管運動性鼻炎(いわゆる寒暖差アレルギー)によって、くしゃみや鼻水(透明)が出ることもあります。これは血圧や体温をコントロールしている自律神経の働きが寒暖差によって乱れたもので、アレルギー性鼻炎とは異なり、目のかゆみや充血などの症状は現れません。

寒暖差アレルギーが疑われる場合は、外出時に上着やマフラーを着用するなどで体温調節をして、温度差をなるべく小さくするように心がけましょう。


2.鼻水が止まらない時の対処法

まず前提として、鼻水が出る時には鼻をすするのではなく、ティッシュで鼻をかむようにしましょう。鼻水が出る時に鼻をすすって対処すると、花粉などのアレルギー物質やウイルスなどを体内に取り込んでしまうためです。

鼻は片方ずつ、ゆっくりかむのがおすすめです。一気に鼻水を出そうとすると鼻に負担がかかるため、少しずつを意識しながら鼻水を取り除きましょう。また、市販の鼻水吸引器を使えば、鼻のかみすぎで鼻が痛くなることもなく、衛生的に鼻水を取り除くことができます。

それでも出てしまう鼻水を止めたい場合は、下記の対処を試してみてはいかがでしょうか。

加湿器を使用する

空気の乾燥は鼻の粘膜を刺激し、鼻水などの症状を生む原因となります。室内にいる時は加湿器を使用して、50~60%の湿度を保つようにしましょう。お湯を沸かしたり、濡れタオルを干しておいたりすることも部屋の加湿効果があるため、加湿器がない場合は試してみてください。

マスクをする

外出する際はマスクを着用して鼻腔の湿度を保ちましょう。冷気が直接鼻粘膜に触れることを避けながら、細菌やウイルス、花粉などを吸いこむことを防ぐことができます。鼻にティッシュなどを詰めて物理的に鼻水を止めることは、鼻の粘膜に傷をつける恐れがあるためお勧めできません。

鼻・体を温める

さらさらと水っぽい鼻水が出る場合は、外気温など周囲の環境が鼻の機能に影響している可能性もあります。鼻の周囲や全身を温めることを試してみましょう。

鼻を温める際は、電子レンジなどで温めた蒸しタオルを使用すると手軽です。体を温める際は、三首(首・手首・足首)や背中・腰を重点的に温めると全身を効率よく温めることができます。


3.止まらない鼻水は市販薬でのセルフケアがおすすめ

止まらない鼻水は市販薬でのセルフケアがおすすめ

鼻水が止まらなくてつらい場合は、市販薬を使ったケアも試してみましょう。ただし、薬を使用しても改善が見られない場合や、悪化する場合には医療機関を受診してください。

風邪薬(総合感冒薬)

風邪が疑われる場合は、咳や鼻水、発熱や寒気などのさまざまな症状の緩和が期待できる総合感冒薬を選び、用法用量を守って正しく服用しましょう。一部の総合感冒薬に含まれる「クロルフェニラミンマレイン酸塩」などの抗ヒスタミン成分には、くしゃみや鼻水などを抑える作用があります。

鼻炎薬

アレルギー性の鼻炎が疑われる場合、市販薬の中では、「フェキソフェナジン塩酸塩」が含まれている鼻炎薬がおすすめです。抗ヒスタミン成分である「フェキソフェナジン塩酸塩」はアレルギー症状であるくしゃみ、鼻水、鼻づまりに有効とされています。

抗ヒスタミン薬にはほかにも「エピナスチン」や「エバスチン」「ロラタジン」などがありますが、薬剤によって眠気などの副作用があるため、服用の前に添付文書をよく確認しましょう。

点鼻薬

点鼻薬は鼻水、鼻づまり、くしゃみなど、アレルギー性鼻炎や急性鼻炎の諸症状の緩和に使われます。鼻を軽くかんでから、鼻の中に噴射する形で使用します。眠くなる成分を含む飲み薬を避けたい、飲み薬が苦手などの場合には点鼻薬を検討してみてはいかがでしょうか。

関連記事: セルフケアにおける市販薬の選び方やポイントを紹介!


4.こんな状態なら注意!病院を受診する目安

こんな状態なら注意!病院を受診する目安

鼻水のほかに次のような症状を伴っている時は、気管支炎や副鼻腔炎などを発症している恐れもあります。早めに耳鼻科や耳鼻咽喉科を受診してください。

  • 「ヒューヒュー」「ゼーゼー」などの呼吸音が出る
  • 顔やまぶたが腫れている
  • ほおや鼻、額に痛みがある

5.鼻水が止まらない原因を知って適切な対処を

鼻水が止まらない原因として、最も多いのが風邪やアレルギー性鼻炎です。原因によって適した対処は異なるため、鼻水の状態やほかの体調を確認して、考えられる原因を絞ってみましょう。鼻水が止まらない場合は市販薬を使っても問題ありませんが、症状が治まらなければほかの病気の可能性もあるため、早めに医療機関に受診することをおすすめします。