「喉(のど)がイガイガする」という表現は、喉に違和感や乾燥を覚えたときによく使われます。イガイガは風邪による喉の炎症だけでなく、アレルギーや食道炎が原因となって起こっていることも。本記事では、喉のイガイガが起こるメカニズムや原因、自宅でできる対処法について解説します。
1.喉のイガイガはなぜ起こる?
喉の粘膜やその周囲に炎症が起きると、炎症物質が放出され、イガイガやムズムズと表現される違和感を引き起こします。その原因は様々ですが、空気が乾燥する季節に多く見られるのが風邪(かぜ症候群)による炎症です。炎症が悪化すると、食べ物や飲み物が喉を通過する際に痛みを覚えたり、つばを飲み込むことさえ苦痛になってしまったりすることも。炎症が声帯などに影響すると、声の出にくさや声枯れなどの症状が出ることもあります。
また、鼻と喉はつながっているため、風邪やアレルギー症状などで鼻水がたくさん産出されると、鼻水がたくさん産出されると、鼻水が喉の奥に流れる後鼻漏(こうびろう)が起き、喉の違和感や不快感を招きます。
2.喉がイガイガする原因
喉のイガイガ感は病気の初期症状であることも。風邪と決めつける前に、イガイガするシーンやその他の症状を思い返してみましょう。
空気の乾燥
喉にはもともと、体内に侵入した異物を排除するための防御機能が備わっています。しかし、冬の冷たく乾燥した空気を吸い込むと、喉や鼻の粘膜の水分が奪われて、刺激を受けやすい状態に。少しの刺激にも敏感に反応してしまい、イガイガを感じやすくなります。
喉が乾燥していると、防御機能が低下して細菌やウイルスに感染しやすくなるため、空気が乾燥する季節は喉の保湿を心がけましょう。
ウイルスや細菌による感染
風邪などの感染症や扁桃炎、気管支炎などにより、喉が炎症を起こしてイガイガ感や痛みが生じることも。喉以外に炎症が起きると、肺炎や結膜炎、関節痛などの症状が出ることもあります。
花粉症などのアレルギー
花粉やほこり、ハウスダストなどの異物を吸い込むと、侵入した異物を体の外に追い出そうとして、アレルギー性鼻炎や喘息などを引き起こすことがあります。ネコやイヌなどの動物(ペット)がアレルギーの原因となることも。これらのアレルギー症状は軽度の風邪と似ているため、自分ではなかなか判別ができません。
花粉の飛散時期や特定の動物の近くにいる時に、鼻水が出る、喉がイガイガするという場合は医療機関でアレルギー検査を受けることをおすすめします。
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、胃から逆流した胃酸や食べ物が食道の粘膜を傷つける病気です。胃酸が逆流することで、口の中に苦みや酸っぱさを感じたり(呑酸)、喉のつまりやイガイガを感じたりすることがあります。
ポリープや腫瘍
喉のイガイガ感のほかに喉の異物感や声が出しにくいなどの症状がある場合は、喉やその周囲にできものがあるケースも。声帯ポリープや喉頭(こうとう)がんなどが疑われます。
その他の生活習慣
上記で挙げたもの以外に、普段の生活習慣が喉のイガイガの原因となっていることも。過度の飲酒や喫煙は喉の粘膜を傷つける原因になるほか、声の出し過ぎも喉のイガイガや不調を招きます。
3.喉のイガイガをやわらげる対処法
喉に違和感を覚えたらまずはセルフケアで喉を休め、なかなか治らない場合は医療機関を受診しましょう。なお、喉のイガイガのほかに頭痛や発熱などの症状がある場合は、風邪やインフルエンザなどの感染症が疑われるため、早めに医療機関を受診してください。
喉がイガイガする時のセルフケアには以下のようなものがあります。
うがいをする
喉や気管の入り口を洗浄する「ガラガラうがい」をすると、粘膜についた細菌やウイルス、ほこりや花粉などのアレルゲンを洗い流せます。風邪予防のためには、抗炎症作用や殺菌作用のあるうがい薬を使うとより良いでしょう。
水を口に含んでブクブクするうがいは口の中をうるおし、喉の乾燥を防ぐ働きも期待できます。外出から帰った後や口の中が乾燥している時などのケアにはうがいがおすすめです。
部屋の湿度を保つ
喉の乾燥を防ぐために加湿器を使って室内を加湿しましょう。適度な湿度は40%以上が目安です。加湿器の中が汚れていると雑菌が繁殖してしまうため、定期的なメンテナンスで清潔に保つことも大切です。
のど飴やトローチをなめる
加湿器が置けない場合や、移動中や外出先で喉をスッキリさせたい時には、コンビニやスーパーなどで買えるのど飴(食品)の活用を検討しましょう。
指定医薬部外品に分類されるのど飴なら、喉の痛みや腫れの緩和などの効果も期待できます。また、医薬品として国の承認を受けたドロップ剤(のど飴)やトロ―チの中には、咳や痰などの症状にも効く製品もあるため、医師や薬剤師に相談のうえ症状に合うものを選びましょう。
指定医薬部外品や医薬品のドロップ剤(のど飴)やトロ―チは他の薬と併用すると薬の作用が強く現れたり、副作用等が出たりすることがあります。用法・用量を守って正しく服用してください。
喉を休める
大声を出したり、長時間話したり、歌い続けたりすることは、喉への負担になります。なるべく声を出さないよう、静かに過ごして喉を休めましょう。
タバコやお酒、刺激物を控える
タバコの煙やお酒に含まれるアルコールは喉の粘膜を刺激するため、喉にイガイガ感があるときはなるべく控えましょう。辛いものや塩気が強いものも、喉にダメージを与える原因に。喉にイガイガを感じたら、薄めの味付けで刺激の少ない食事を心がけてください。
4.喉がイガイガする時は何科を受診する?
セルフケアをしても喉のイガイガが治らない時は「耳鼻咽喉科」を受診しましょう。耳鼻咽喉科は脳と目を除く、首から上の領域全般を診療範囲としています。
喉のイガイガ以外にも症状がある場合は下記を参考に医療機関を選んでみてください。
風邪っぽい時
発熱や関節痛、咳や鼻水といった風邪の症状が見られる場合は「内科※」を受診しましょう。外来対応時間や対象患者に制限が設けられているケースもあるため、かかりつけの医療機関に電話などで相談することをおすすめします。
※感染症の流行時は国や自治体のガイドラインをご確認ください
花粉症などのアレルギーが疑われる場合
鼻水やくしゃみ、ムズムズ感など、アレルギー症状が疑われる場合は、「耳鼻科」「耳鼻咽喉科」が適しています。
花粉症などの季節的なアレルギーの場合は、症状がひどくなる前に抗アレルギー薬を服用することで症状を抑えられる可能性があるため、早めに医療機関で診察を受けましょう。
胃もたれや胸やけがあるとき
喉のイガイガのほかに、胃もたれや胸やけ、呑酸(口の中に酸っぱさや苦さがこみ上げてくること)などの症状がある場合は、逆流性食道炎などの病気が疑われます。「内科」や「消化器内科」を受診しましょう。
声が出しにくい・かすれるとき
声の出しづらさや喉の異物感、声のかすれなどの症状がみられる場合は、「耳鼻咽喉科」を受診してください。違和感を放置していると、声帯ポリープや喉頭がんなどの大きな病気を見逃がしてしまう恐れがあります。
5.喉のイガイガを感じたら、まずはセルフケアを!
さまざまな原因によって起こる喉のイガイガ。空気の乾燥や風邪などの感染症のほか、病気の症状として喉に違和感が現れることもあります。生活習慣を振り返るだけでは原因の特定が難しいため、セルフケアで数日様子を見ても良くならない場合は医療機関を受診してください。