情報掲載日:2024/11/17
【医師監修】花粉症による頭痛とは?起こる原因や解消法も解説します

目のかゆみや鼻水、鼻づまりなど、つらい症状が現れる花粉症。中には目や鼻の症状だけでなく、頭痛に悩まされる人もいます。本記事では、花粉症と頭痛の関係を整理し、予防策や市販薬を使ったセルフケア方法を紹介します。

1.花粉症に伴うさまざまな症状

花粉症に伴うさまざまな症状

そもそも、花粉症とはスギやヒノキなど、植物の花粉が原因物質(アレルゲン)となってアレルギー症状を起こすものです。くしゃみ、鼻水、鼻づまりといったアレルギー性鼻炎※に起因する症状のほか、目のかゆみ、充血、涙目などのアレルギー性結膜炎に起因する症状がよく知られています。
※花粉が原因で起こる鼻炎は、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれることもあります。

関連記事: 【医師監修】鼻水・鼻づまりは花粉症が原因?時期と症状でセルフチェック

花粉症で肌あれや頭痛に悩む人も

上記のほか、花粉が飛散する時期には咳、喉のかゆみ・いがらっぽさ、まぶたや頬などの皮膚にも赤みや肌荒れ、頭痛などの症状が起きることもあります。

2019年3月の調査※によると、花粉症に伴う頭痛に対し「やや重い」「重い」「非常に重い」と答えた人は花粉症/花粉アレルギーの症状がある人のうち13.1%いることが示されています。この割合は体の皮膚症状(肌あれ・かゆみなど)があると答えた人の12.9%とほぼ同程度であり、花粉の飛散時期に頭痛に悩まされる人は決して少なくありません。

出典: 2019 日本リサーチセンター調べ
【NRCレポート】 花粉症/花粉アレルギー調査Part2:花粉症/花粉アレルギーの人の調査結果編


2.花粉症で頭痛が起きるのはなぜ?

花粉症に伴うさまざまな症状

花粉症に伴う頭痛の原因には、副鼻腔炎(蓄膿症)とアレルギー反応の2つが考えられます。

副鼻腔炎(蓄膿症)

鼻腔の周りには副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれる顔面骨の空洞があります。この副鼻腔に炎症が起き、膿が溜まってしまった状態が副鼻腔炎です。副鼻腔炎は蓄膿症(ちくのうしょう)と呼ばれることもあります。

花粉症で頭痛が起きるのはなぜ?

副鼻腔には頬の裏側の上顎洞(じょうがくどう)、目の間にある篩骨洞(しこつどう)、額の裏側の前頭洞(ぜんとうどう)、鼻の奥にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4つがあり、自然口と呼ばれる小さな穴で鼻腔とつながっています。

花粉症でくしゃみや鼻水、鼻づまりなど、アレルギー性鼻炎の症状があると、粘膜の腫れや鼻水によって自然口がふさがり、副鼻腔から鼻水などの分泌物や異物を排出できなくなります。こうして副鼻腔炎を発症すると鼻の周りや顔面(特に目と目の間)に痛みが出たり、頭痛が起きることがあります。

また、花粉症と副鼻腔炎を併発すると、鼻水が喉の方に垂れて咳が出る、夜間に咳が出て眠れないなど、日常生活にも影響を及ぼします。睡眠不足も頭痛の原因になることがあるため、早めの対処が重要です。

関連記事: 【医師監修】つらい頭痛の原因と対処法。痛みの違いやセルフケアのポイントを解説

アレルギー反応

アレルギー反応で放出される様々な科学物質やサイトカイン(免疫細胞を活性化させる物質)の影響で、頭痛や頭重感(ずじゅうかん)が起きることもあります。


3.花粉症に伴う頭痛の解消法、予防法

花粉症に伴う頭痛の解消法、予防法

花粉症に伴う頭痛にはどのように対処したらよいのでしょうか。ここからは、花粉症に伴う頭痛の解消法、予防法を紹介します。

病院を受診する

花粉が飛散する時期に頭痛がある場合、花粉によるアレルギー症状が長期にわたり、副鼻腔炎を併発していることが考えられます。くしゃみ、鼻水、鼻づまりといったアレルギー症状は薬で抑えることが可能ですので、我慢せずに病院を受診しましょう。

アレルギー性鼻炎は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服、ステロイドの点鼻などの薬物療法で症状を緩和できますが、副鼻腔炎(蓄膿症)が重症化すると副鼻腔の粘膜を切除する手術が必要になるケースもあるため、早めの受診をおすすめします。

また、薬の内服や点鼻は、花粉の飛散が始まる少し前から始めることで、花粉の時期に急に症状が悪化することを回避できる可能性が高まります。スギ花粉の飛散は例年2月中旬ごろから始まるため、毎年花粉症に悩まされる人は冬のうちから医師に対策を相談しておきましょう。

市販薬でセルフケア

花粉症が軽度の場合は、市販薬によるセルフケアでアレルギー症状を抑えることも可能です。病院になかなか行けない場合には市販薬で様子を見てもよいでしょう。

花粉症の市販薬には、様々な種類がありますが、いずれも添付文書をよく確認してから服用するようにしましょう。「フェキソフェナジン塩酸塩」は抗ヒスタミン薬の代表的な成分で、アレルギー症状のひとつ、鼻づまりに有効とされています。副作用が少なく、使用しても眠くなりにくいのが特徴です。

内服薬以外に、点鼻薬(鼻スプレー)を使用するのもおすすめです。血管収縮剤が入っており、鼻の中の血管を収縮させて鼻づまりなどの症状を緩和させます。ただし、頻繁に使うと効果が弱まったり、症状が悪化したりすることもあるため、用法・用量は必ず守りましょう。

花粉を避ける

花粉症に伴う頭痛を予防するには、アレルゲンである花粉との接触を避けることが重要です。

花粉の飛散が多いと予想される日には、できるだけ外出を控えましょう。どうしても外出しなければならない時はマスクやメガネ、帽子などの着用を心がけてください。素材は花粉が付着しにくいポリエステルなどがおすすめです。帰宅したら、洋服をよくはたいてから家に入り、すぐにうがいや洗顔をして、花粉を部屋の中に持ち込まないようにしましょう。

家の中で過ごす場合も、花粉の飛んでいる時期はあまり窓を開けず、洗濯ものは部屋干しにすることをおすすめします。空気清浄機もぜひ活用しましょう。


4.つらい花粉症……まずは医療機関の受診を

人によって症状が異なる花粉症。くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどに加えて頭痛や頭重感がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。アレルギー症状は市販薬で抑えることも可能ですが、頭痛には花粉症以外の病気が隠れていることも考えられるため、まずは医療機関を受診することをおすすめします。