流行初期は医療機関や宿泊施設にて療養する人も多かった新型コロナウイルス感染症。第7波の流行では、自宅で療養する罹患者が一時100万人を超えました。
第7波では、感染者数が急激に増えたことにより、医療機関での検査キットの不足や、医療機関の受け入れ停止などが起こりました。
全国の新規感染者数が増加している今、第8波の到来が想定されています。そこで注目されているのがセルフケアです。セルフケアは、日々の健康維持のために、不調が見られたときに対応できるよう自ら準備をし、医療機関を受診しないで症状を緩和することが目的です。
今年の冬は、インフルエンザの流行と第8波が重なった場合を想定して、医療機関を受診せずに症状を和らげることも選択肢の一つとなるでしょう。
1.セルフケアは市販薬の活用を
セルフケアでは市販薬を使って症状を緩和していくため、事前に常備しておくことがおすすめです。第7波では医療機関を受診できない罹患者や、不測の事態に備えた人が市販薬を購入したことにより、品薄になった商品もありました。
今後、また急激に流行した際には市販薬が欲しい時に手に入らないという事態も考えられるので、事前に準備しておくと、いざという時にも安心です。そこで、市販薬の選び方や注意点などを解説します。
市販薬の選び方
咳や鼻水、発熱や寒気などのさまざまな症状の緩和が期待できる総合感冒薬があります。
咳が一番つらい症状であれば、咳止めなどのように特定の症状の緩和が期待できる市販薬がおすすめです。
新型コロナウイルス感染症ではさまざまな症状がみられますが、代表的なものは以下になります。
- 発熱
- 咳
- 倦怠感
- 喉の痛み
- 鼻水
- 頭痛
- 関節痛
新型コロナウイルス感染症では、発熱以外にも咳、喉の痛みがつらい人が多いため、それぞれの症状に合う成分が配合されている薬を準備しておきましょう。
症状 | おすすめの成分 |
---|---|
発熱/喉の痛み/頭痛/関節痛 | アセトアミノフェン イブプロフェン(成人向け) |
咳 | デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物など |
鼻水 | クロルフェニラミンマレイン酸塩など |
発熱や喉の痛み、関節痛などの痛みに関しては、アセトアミノフェンやイブプロフェンが配合されている解熱鎮痛薬がおすすめです。
市販薬を選ぶ際の注意点
市販薬を購入する際は、緩和させたい症状に対する薬であるかをしっかりと確認しましょう。
また、以下に当てはまる人は、担当医や薬剤師に相談する必要があります。
- 子ども
- 持病があり他の薬を服用している人
- 妊娠中/授乳中
- 妊娠の可能性がある
- 高齢
- 薬などのアレルギーがある人
市販薬には、子どもの服用が禁止されているものもあるため、大人の薬を調節して飲ませるなどは避け、子どもでも飲めるものを選びましょう。
普段から飲んでいる薬がある人は、購入したい薬と飲んでいる薬の飲み合わせが悪い場合もあります。
また、妊娠中や授乳中、妊娠の可能性がある人も、胎児や乳児に影響する可能性があるため、事前に薬剤師に相談してから購入しましょう
どれを購入したら良いのかわからない人は、上記に当てはまらない場合でも薬剤師に相談してから購入するようにしましょう。
2.セルフメディケーション税制について
セルフメディケーション税制とは、対象の医薬品を購入した場合に所得控除を受けられる制度です。
処方箋がなくてもドラッグストアや薬局で買うことができるOTC医薬品(一般用医薬品)が対象となっています。
要指導医薬品と第1類~第3類までの4種類があります。
生計を共にしている家族の分も対象であり、翌年の確定申告で申請すると控除を受けられます。申請する際にはレシートが必要なため、捨てずに取っておくようにしましょう。
セルフメディケーション税制の対象となるには、以下の3項目すべてに該当する必要があります。
1.所得税、住民税を納めている。
2.1年間(1月~12月)に、特定健康診査(メタボ検診)、予防接種、定期健康診断、がん検診などのいずれかを受けている。
3.1年間(1月~12月)で対象となる医薬品を1万2,000円を超えて購入している。
3.セルフケアの取組みポイント
セルフケアに取り組む上で、市販薬以外の事前準備が重要です。そこで、具体的にどんな準備をしたらいいのか見ていきましょう。
市販薬以外に食品などを用意しておく
以下の物も市販薬とあわせて用意をしておくと、発熱などの急な不調にも安心です。
- 体温計
- 冷却シート/氷枕
- ティッシュなどの生活必需品
- 新型コロナウイルス抗原定性検査キット
- 日持ちする食品
- ゼリーなどの食べやすいもの
- スポーツ飲料や経口補水液
セルフケアでは食事を摂ることも大切なため、冷凍食品やおかゆ、レトルトなど日持ちする食品やゼリーなどの食べやすいものを準備しておきましょう。
新型コロナウイルス感染症では喉の痛みの症状もあるため、食事をしにくい場合に備えてゼリーや経口補水液もあると安心です。食品をストックしておくと、外出自粛の場合にもゆっくりと療養できるでしょう。
また、食べ物だけではなく普段から使うティッシュや洗剤などの日用品や飲み物も合わせて用意しておくようにしましょう。
日頃から市販薬を持ち歩く
セルフケアでは、不調を感じた時にすぐに対応できる備えも重要です。出かける機会が増えた今、出先などで近場にドラッグストアがない場合もあり得ます。そのため、症状が出てから市販薬を買うのではなく、ポーチやカバンに入れて持ち歩くようにしておくと安心です。
4.新型コロナウイルス感染症のセルフケアは事前の準備が重要
新型コロナウイルス感染症のセルフケアが推奨されている背景には、第7波の急激な流行が関係しています。
いつでも対応できるように市販薬や食品、日用品などを事前に準備しておくことや日頃から市販薬を持ち歩くことをおすすめします。
制限が緩和され外出が増えた今だからこそ、市販薬を常備し、万が一の時にセルフケアの対応ができるように準備しておきましょう。
また、65歳以上や持病がある人は医療機関の受診が必要となる場合があり、受診する必要があるか迷った際には、自治体の発熱センターや医療機関に問い合わせましょう。